11日目
「もうブログ書くのやめたの?」という声を一部で聞きましたので、思い出したように書きます。
アニソンDJはむつかしいとかよく聞きます。
その理由に、こんなのを聞きます。
「BPMがバラバラ」
「間奏が短い」
「ジャンルが多岐にわたる」
「監督つなぎや制作会社つなぎなど、つなぎの意味を考えないといけない」
等々……
本当にそうでしょうか。
「アニソン」を「つなぐ」のは「むつかしい」のでしょうか。
まず、そこらへんを考える前に、アニソン以外のDJが言うところの「曲をつなぐ」を簡単に考えて見たいと思います。
DJが曲をつなぐのには、
1)BPMをあわせ、
2)EQをコントロールすることで違和感なく
3)徐々に次の曲へ移行
いかないといけません。
これをふまえた上で、上に出した例を考えて見ましょう。
BPMがバラバラだからつなぎにくい。
たしかに大変そうですね。でも、つなぐには、結局BPMの近い曲をつながないといけないので、一緒なんじゃないでしょうか。
BPMが違う曲をつなぐ場合、いろいろな方法がありますが、結局のところ誤魔化してるだけで、「つないでいない」んですから。
BPMが近い曲はつなげる。近くなかったらつなげない。
BPMがバラバラでも、つないでいないのなら、DJとして別に難しくなる要素ないと思います。
間奏が短いとどうでしょうか。
間奏が短いとたしかに繋ぐのは大変そうです。でも、時間的に短いのはどうしようもありません。徐々に次の曲へ移行するのは無理なのです。これも「つないでいない」のでないでしょうか。
ジャンルが多岐にわたるとどうでしょう。
アニソンDJに限らず、ジャンルを横断してDJをする人なんて、今はざらにいます。別にアニソンDJに限ったことではないのです。
さらに言うと、一般的なDJにおける「ジャンルを横断」って、他の曲をつないでいくように徐々にジャンルを繋いでいきながら変えていくんです。例えば、ガラージからグライムに横断していくときは、ガラージからグライムへの過渡期の曲や、グライムを経由したガラージとか、ボーダーレスな曲とか、一旦ウェイトレスを挟んで……とか、曲を繋ぐように、ジャンルをつなぎます。
アニソンの場合、音楽的に多岐に渡るのと、ジャンルを意識した曲が少ないのとで、ジャンルをつなぐのが極めて困難だと思われます。
そういうつなぎ方をすると難しいでしょう。
そこまでジャンルを意識してつないでいないのなら、やはり「つないでいない」のではないでしょうか。
ジャンルがバラバラでも、つないでいないなら、別にDJとして難しくなる要素ないと思います。
「監督つなぎや制作会社つなぎなど、つなぎの意味を考えなければならない」
その曲のアニメの監督の名前や制作会社とか覚えないといけませんね。それは大変ですね。曲の他にアニメの知識もたくさん必要です。アニメも見ていないと「主人公が嘔吐するアニメ」つなぎとか出来ませんから、アニメ本編も見なければなりませんね。大変そうです。たしかにアニソンDJ、むつかしそうですね。
でも、いくら同じ監督でつなごうが、制作会社でつなごうが、主人公が嘔吐した作品でつなごうが、曲はつながってませんよね? やはり「つないでいない」のではないでしょうか。
監督つなぎとかしても、曲をつないでいないのなら、別にDJとして難しくなる要素ないと思います。
では、アニソンDJは、むつかしくないのでしょうか。
ここまで書いておいてなんですが、僕はアニソンDJはむつかしいと思います。
ここまで書いてきたことと、結論が矛盾しているように見えますね。では、こう書きましょう。
DJとしては「つないでない」んだからむつかしくないですが、アニソンDJはむつかしいです……と。
僕が思うに、アニソンDJは曲以外の「何か」をつないでいるんです。
先ほど例に挙げた「嘔吐つなぎ」なんか、僕は聞いてて「げぇっ!」ってなりました。嘔吐だけに。
これこそ、アニソンDJの真骨頂と言えるかもしれません。
では、アニソンDJは何をつないでいるんでしょうか。僕には「これ」と言った答えの持ち合わせはありません。
もしかしたら、フロアや僕らの心をつないでいるのかもしれないですね。
※ 曲も、それ以外の「何か」も綺麗につなぐアニソンDJの方もおられます。それには、DJとしての知識と技術、アニソンDJとしての知識と技術、両方が求められます。